, …

女性のトリオ、リシャール・ミル レーシングチームの華麗なる活躍

長年の夢であった、女性ドライバーだけのチーム

 Photo François Flamand / DPPI

リシャール・ミルにとって“車”とは、自身のクリエーションに多大な影響を与え続けてきた存在の一つである。例えばこの春、リシャール・ミルがフェラーリグループのオフィシャルウォッチパートナーとなったニュースも記憶に新しいことだろう。“時代を超えたノウハウと最先端のイノベーションを融合”させる新たな技術への挑戦という製作テーマを掲げる一方で、リシャール・ミルがかねてから続けてきたのが、実際にサーキットを走るレーサーたちの支援だ。最初にファミリーとなった元F1ドライバーのフェリッペ・マッサをはじめ、フェルナンド・アロンソやストフェル・バンデーンなどの名だたる男性ドライバーを“ファミリー”として迎えてきた。そんなリシャール・ミルのモータースポーツ界における先見の明を語る活動が、ここに紹介する「リシャール・ミル レーシングチーム」だ。

Photo Florent Gooden / DPPI

2020年に発足されたこのチームの特長は、全員が“女性ドライバー”で構成されているということ。初代メンバーのキャサリン・レッグの後を継ぎ、現在チームの一員として活躍しているのが、女性のみのGTレースの優勝とWシリーズでの準優勝という快挙を重ねてきたベイスク・フィッセール。そしてアルファロメオのF1テストドライバーを務め、「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の参加経験を持つタチアナ・カルデロン、「フォーミュラ3」や「マカオグランプリ」などの数々のレースで目覚ましい功績を残してきたソフィア・フローシュを交えた、合計3人のメンバーからチームは構成される。彼女たちはいわば20代の若さでありながらシングルシーターの世界でスキルを磨いてきた、世界中からいま最も熱い期待が寄せられている女性レーサーなのである。

 Photo Florent Gooden / DPPI

この女性だけのメンバーとなるレーシングチームは、「FIA(国際自動車連盟)」の議長を務めるブランドの創業者リシャール ミルと、伝説的な女性ドライバーであり、現在は「FIA ウィメン&モータースポーツ委員会」の委員長として活躍するミシェル・ムートン、二人の長年にわたる想いが結実したものでもある。LMP2クラス初となる100パーセント女性クルーのチームは、最高レベルの実力があってもトップチームへの加入が困難とされてきた女性ドライバーたちの現状を打破する、新たな希望の星ともなった。「この10年ほどの間、私たちはモータースポーツ界における女性の活躍を促進するために尽力してきました。トップレベルでの競技を行うための才能を持っていることを示す機会を女性たちが平等に持てるよう、門戸を広げてきたのです」(ミシェル・ムートン)。

「FIA世界耐久選手権」でさらなるステップアップを

リシャール・ミル レーシングチームは2020年から2021年にかけて世界中のレースに参戦するプロジェクトだが、前シーズンでは「ル・マン24時間」、「モンツァ4時間」、「ポルティマン4時間」に参加。ル・マン24時間レースでは、LMP2カテゴリーで9位、全体で12位という快挙を果たした。2021年もまた、「FIA世界耐久選手権」で世界最高レベルの選手たちと競う、新たなチャレンジの年となるだろう。「FIA世界耐久選手権で世界最高レベルのドライバーたちを相手にレースをすることは、間違いなく私たちのキャリアにおいて画期的な出来事となるでしょう」(タチアナ・カルデロン)。

そして昨年のLMP2で活躍した、リシャール・ミル レーシングチームの1号車「オレカ07」も健在。600馬力のハイパワーのギブソン製エンジンとミシュラン製のタイヤを搭載した最初のプロトタイプから、今年はエンジンパワーとタイヤの変更を迎え、3人のレーサーは今もマシンの研究に勤しんでいる。そんな彼女たちを支えてきたのが、フィリップ・シノー率いるシグナテック・オートモービルズだ。3人の活躍を見つめ続けてきたフィリップ・シノーは、今年の展望を次のように語る。「3人のドライバーのスキルとラーニングカーブを考えれば、自信があります。LMP2のルール変更に伴い、新しいパッケージや昨年とは異なるオペレーティングバランスなどで、新たな課題も出てくるでしょうが、我々には大きな野望があります。チーム内には素晴らしいダイナミズムが生まれていて、それが私たちのモチベーションを高め、可能な限り最高の結果を出したいという気持ちにさせてくれています」。

同じ情熱を持った仲間たちと世界へ羽ばたくレーシングチーム

昨年を振り返りソフィア・フローシュは、レースを最も楽しませてくれたのが、リシャール・ミルとテクニカルチームとの素晴らしき“連携”だと語る。今後リシャール・ミル レーシングチームは、FIA 世界耐久選手権に参加するため、年間を通して6カ国での遠征を予定。3月のアメリカ・セブリングでの1000マイルから始まり5月には「スパ・フランコルシャン6時間」、「ル・マン24時間」、「モンツァ6時間レース」をヨーロッパで迎え、今秋9月には日本の「富士6時間耐久レース」に参加し、最後11月には中東の「バーレーン8時間レース」でフィナーレを迎えることとなる。

Photo François Flamand / DPPI

FIA世界耐久選手権への参戦するための一歩を迎え、世界へと羽ばたくリシャール・ミル レーシングチーム。女性レーサーの活躍を目指した、時計と車における画期的なパートナーシップが、まだ見ぬ新しい風景を私たちに見せてくれることだろう。

 Photo Florent Gooden / DPPI

リシャールミルジャパン㈱ TEL.03-5511-1555 FAX.03-5511-1556